#. はじめに

さて、このような題で記事をまとめるのは、 私自身がこれまでに学んだり考えて来たことをこの辺りで 整理しておきたいという気持からの作業です。 もちろん、「この記事が誰かの役に立てるなら…」という気持ち も有りますが、そこまでうまくまとまるかどうか…。

この記事では、RPGにおけるシナリオを1つの物語として考え、 その物語の創り方を考えてみたいと思います。 とは言うものの、シナリオを物語ととらえることには疑問を持たれる 方もおられるでしょう。 そこで、まずはその点について述べてみたいと思います。

あなたがこれまでに創ったり経験したシナリオの中で、 感動や感銘を得られたものが有ったかどうかを考えてみてください。 私の経験から言うと、感動や感銘を得られるシナリオというものは非常に稀です。 確かにRPGは娯楽であって、 楽しければそれで良いという考え方もできます。 その考え方が間違っているとは思いません。 しかし、ただ楽しいというのとは違ったシナリオが有っても良いと思うのです。 ただ楽しいというのとは違うシナリオを創ろうとしたときに、 私の選んだ方法が、シナリオを物語としてとらえるという方法なのです (これについては、 【RPGと亜神話 ---- まとめ ----】 で 述べています)。

『ただ楽しいというのとは違ったシナリオ云々』がどういうことかを 言うためには、まずRPG の楽しさについて考えてみるべきだと思います。 ちょっと皆さん自身のことを考えてみてください (【RPGの楽しさについて】に いくつか書いてありますので、そちらも見てみてください)。 きっと、 多くの方が 「RPGの楽しさ = 笑い (あるいは騒げるとお)」であるという イメージを持っていると思います (この イメージによって引きおこされる悲劇的な現象を、 私は 【ギャグ・シフト現象】 と呼んでいますが^^;) 。 あるいはもっと単純に「楽しい = 笑い (騒げること)」というイメージと 言ってしまっても良いかもしれませんが。

しかし、そのような楽しみは、RPG の楽しみの一面にすぎないことも 多くの方はお気づきのことと思ます。 そこで、「笑い (あるいは騒げること)」以外の楽しみとしてどのようなものが あるのかを考えてみると、やはり中心には「物語を楽しむ」ということがあると 思うのです。 しかし、物語を楽しむためには、その物語自体がしっかりとしたもの でなければならないでしょう。 そこで、RPGの シナリオを物語としてとらえてみようと考えたのです。 そして、感動や感銘を与えられるほどの物語であったらと思うのです。 逆に言えば、感動や感銘を与えられるようなシナリオであるための 方法として、私は『シナリオを物語と考え』ることを選んだと言っても 良いと思います。

おまけに言えば、そういう物語をあまり苦しまずに 作れはしないかと考えているわけです。 なにしろRPGにおいてはシナリオはどうしても必要なものですから (考えかたによっては、必ずしもそうではありませんけどね。 【 RPGの未来】でちょっと考えています。 また、シナリオの必要性 (というのかな?) については 【シナリオとは?】で触れています)。

ただ、RPGのシナリオを物語としてとらえるといっても、 小説や映画、 そして演劇とRPGとはいくつか決定的な違いが有ります。 そこで、次の章では、RPGの シナリオと小説などの物語の違 いを考えてみます。

そうそう、 参考文献 [演劇入門] のまえがきに、 非常に良い言葉があります。 その言葉を座右において、この記事を始めたいと思います。 『演劇の技術とは、「自分の妄想を他者に伝える」技術である。』


私家版 Advanced!!】 【物語の作りかたを考える
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